増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて
Ⅲ章 消化器救急疾患
疾患別対処法
上部消化管
特発性食道破裂
酒井 真
1
,
宗田 真
1
,
宮崎 達也
1
,
桑野 博行
1
Makoto SAKAI
1
1群馬大学大学院病態総合外科学
pp.215-219
発行日 2016年10月22日
Published Date 2016/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211377
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POINT
■特発性食道破裂(Boerhaave症候群)は比較的稀な疾患とされているが,本疾患が発生した際には縦隔気腫や皮下気腫,気胸に加え,縦隔洞炎,膿胸,ARDSや敗血症などの病態を続発することがあり,高い致死率を呈する重篤な疾患である.
■早期診断のためには,胸痛,腹痛,背部痛の鑑別疾患として本疾患をまず疑うことが重要である.飲酒後の激しい嘔吐をきっかけとして発症することが多く,十分な問診が必要である.本疾患の予後には,発症後24時間以内に適切な治療を開始できるか否かが大きく影響する.
■治療の基本は外科的治療であり,基本的手技は,①穿孔部の閉鎖,②被覆(パッチ)術による補強,③洗浄と縦隔および胸腔のドレナージ,である.
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