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このAtlas手術書は2007年に第一版が出版され,これまでの手術書とは違って極めてわかりやすく,かつ実践的な内容で高難度手術手技を解説していることより,多くの外科医から大変な好評を博した本である.その第二版がこのほど大幅改訂され,術後合併症Clavien-Dindo分類で有名なスイスのPierre-Alain Clavien,メイヨークリニック外科教授のMichael G. Sarr,ニューヨーク・スローンケタリング癌センター外科教授のYuman Fongの三人の世界的なリーダーに加え,アジアから千葉大学教授の宮崎勝が新たに編集者として加えられ,さらに充実した本として出版された.
第二版では腹腔鏡アプローチおよびロボットの手術手技などについても多くの章で加えられ,肝臓外科領域では新たにALPPS手術や肝腫瘍に対してのelectroporation法なども掲載されている.また,1990年代に入り,さまざまな手術手技が登場した.たとえば腹腔鏡下の消化管手術および肝切除,胆道癌に対する肝左三区域切除や胆膵癌に対する血管合併切除術なども以前に比べて洗練され,さらに肥満手術においてのgastric bypass術なども新たに開発されてきている.これら新規臨床導入されてきている術式について,外科医は常に正確な知識を得る必要があろう.また本書の特徴として,“Tricks of the Senior Surgeon”といって通常の手術手技の解説書には記載のない秘策的・実践的な注意点がエキスパートらによって簡潔かつ要領よく記載されている.本書にある外科手術をすでに自身で行っている中堅外科医にとっても,技術のさらなる質向上に有用となる手技上のtricksがたくさん記載されており,これを自身の手技と比較してみるだけでも大変参考になるはずである.
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