Japanese
English
短報
眼球彷徨roving eye movementが観察されほどなく死に至った2症例―せん妄増悪時の特徴的眼球運動
Roving Eye Movement as a Marker of Exacerbation of Delirium: A report of two mortal cases in consultation-liaison psychiatry
上田 諭
1
,
児玉 由希絵
1,2
,
大久保 善朗
1
,
伊藤 敬雄
1
Satoshi UEDA
1
,
Yukie KODAMA
1,2
,
Yoshiro OKUBO
1
,
Takao ITO
1
1日本医科大学精神医学教室
2浅井病院精神科
1Department of Neuropsychiatry, Nippon Medical School, Tokyo, Japan
2Department of Psychiatry, Asai Hospital
キーワード:
Roving eye movement
,
Delirium
,
A marker of exacerbation
,
Consultation-liaison psychiatry
Keyword:
Roving eye movement
,
Delirium
,
A marker of exacerbation
,
Consultation-liaison psychiatry
pp.1103-1106
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101318
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はじめに
コンサルテーションリエゾン精神医学(以下,リエゾン)では,精神症状の適切な評価のために,それに影響を与える身体面の評価を欠かすことはできない。診察においては,臨床検査の結果などとともに,患者が示す有意な表出や徴候をみつけることが重要となる。今回,重症の身体疾患症例にかかわる中で,せん妄ないし意識障害の増悪時に特徴的な眼球の動きが観察され,その後ほどなく死に至った症例を2例経験した。この眼球運動は,比較的ゆるやかな左右への振り子様往復運動で,roving eye movement(眼球彷徨)7~9)であると思われた。脳幹障害のない意識障害時にみられるとされているが,精神科臨床では馴染みが少ない。せん妄をみることの多いリエゾン活動では,病態評価や治療対応の点から重要な指標になり得ると思われ,症例を提示し考察した。個人情報保護のため,症例の細部には変更を施した。
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