昨日の患者
私の誕生日は母が頑張った日
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.102
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211061
- 販売していません
- 文献概要
赤十字血液センターにて,日常業務の一環として献血ルームや献血バスの健診医を務めている.そして健康状態,既往歴や渡航歴などを尋ねながら,献血者との会話を楽しんでいる.
制服姿の女子高校生が,週日の午後4時頃に献血ルームへやって来た.若年の献血者が稀なため,献血を思い立った理由を尋ねた.すると「今日は私の16歳の誕生日です.私が生まれる際,お母さんは胎盤剝離で大量出血をきたしたそうです.当初入院した病院では手に負えず,大きな病院に緊急搬送されました.そして大量の輸血が行われ,緊急の帝王切開で私が生まれました.術後も出血が止まらず,たくさんの血液にお世話になりました.幸いなことにお母さんは危機を脱し,私も母なし子にならずに済みました.お母さんから私の出産時の話を聞いていたので,献血ができる16歳になったら,必ず献血しようと思っていました」と,答えた.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.