今月の主題 急性期脳卒中の臨床
診療の実際
急性膵炎
斎藤 洋一
1
,
中島 康之
1
1東北大第1外科
pp.228-230
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207748
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
急性膵炎の治療に関する歴史的変遷をみると,かつては早期手術が是認され直接膵に侵襲を加えるような積極的な手段がとられてきたが,その手術成績はきわめて悪く,50%前後の死亡率であった.その後早期手術に批判的な意見が多くなり,1938年のNordmannの報告以来絶対的保存療法の治療方針がとられ最近に至っている.
しかし,近年外科治療の進歩に伴い従来ほど手術死亡率は高くなく,かつまた積極的な手術をすすめる報告が多くなってきた.胆道系に対する手術の有用性に関しては多くの報告があり,さらにLawsonら1)は膵周辺の積極的なドレナージを,伊藤ら2)は後腹膜腟のドレナージが有効と報告している.またLawsonら1)は重症膵炎に対して胃瘻空腸瘻造設兼胆道ドレナージが有効であり,Hollerlderら3)は膵全摘術などを報告している.また一方,急性膵炎時の呼吸不全,DIC,腎障害などの合併症の報告もあり,これらに対する処置に関しても報告がみられる.今回筆者らは自験例をもとに,急性膵炎の手術適応,治療などに関する若干の問題について触れてみたい.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.