Caseに学ぶ 一般外科医のための血管外科応用手技・2
慢性膵炎に対する膵頭部部分切除兼膵体尾部完全遊離ドレナージ法
加藤 紘之
1
,
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.1231-1236
発行日 1987年7月20日
Published Date 1987/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209774
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
膵管拡張をともなう慢性膵炎手術
局所の外科解剖
図1に膵頭部露出に必要な間膜・腹膜の切開法を図示した,胃結腸間膜右半,十二指腸結腸間膜ヒダ,さらに右横隔膜結腸ヒダを切離して膵頭部前面を広く露出し,続いてKocher授動術を大動脈左縁に到るまで行つて膵頭部後面を広範に剥離挙上する.これによつて膵頭十二指腸領域が術者の左掌中に収められ,血管処理の準備ができたことになる.肝動脈の走行異常をチェックしておくことはもちろんであるが,慢性膵炎では門脈系の狭窄・閉塞を起こすことがあるので術前の血管造影は必須である.膵頭部領域の脈管走行を図2に示した.この手術は膵頭部の部分切除のみを行うので温存すべき部分,特に十二指腸の血行保持に必要な血管走行を熟知しておく必要がある.また膵内胆管を損傷せぬよう剥離した肝十二指腸間膜右後面からその走行を確かめておく.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.