特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵嚢胞内瘻化手術
黒田 慧
1
,
森岡 恭彦
1
Akira KURODA
1
,
Yasuhiko MORIOKA
1
1東京大学医学部第1外科
pp.936-939
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210079
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膵嚢胞は真性と仮性とに分けられるが,真性嚢胞の多くは原則として切除術の適応となる.一方,仮性嚢胞は,随伴する炎症のため剥離が困難なことや,効果的な減圧処置により消褪することから,切除が比較的容易な膵体尾部の膵内仮性嚢胞(intrapancreatic pseudocyst)以外は,より安全性の高い胃腸管との吻合—内瘻術が行われることが多い.
内瘻術において,胃,空腸または十二指腸のいずれを吻合に用いるかは,嚢胞の大きさ,部位(頭部か体尾部か,膵内か膵外か),周囲臓器,特に胃壁との癒着の有無・程度,背景病変—慢性膵炎の有無・程度による.
内瘻術を行うにあたって遵守すべき点は,いずれの場合も,術前検査および術中の迅速組織診で腫瘍性病変を否定しておくこと,嚢胞の大きさに対応して十分なサイズの吻合口を作製することである.
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