特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
小腸・大腸
低位前方切除術における器械吻合の手技
進藤 勝久
1
,
安富 正幸
1
Katsuhisa SHINDO
1
,
Masayuki YASUTOMI
1
1近畿大学医学部第1外科
pp.807-809
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210036
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前方切除術(anterior resection)は経腹的に直腸の切除・吻合を行う直腸切除術式である.このうち腹膜反転部以下の小骨盤腔で吻合を行う術式を低位前方切除術(low anterior resection)と呼んで,腹膜反転部より高位で吻合する高位前方切除術と区別している.このような深くて狭い術野での吻合を確実に,安全に,しかも迅速に行うために自動腸管吻合器を使った器械吻合は極めて有用である.今日では直腸S状部癌,上部直腸癌および一部の下部直腸癌に対する標準的術式として定着しつつある.
本術式は手技的には決して難しいものではないが,器械吻合独得のコツと技術が必要であって,手縫い法と同様に熟練を要する.逆に,慣れると安易な術式に陥りやすく,直腸癌の場合にリンパ節郭清や切除が不十分にならないように注意する必要がある.
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