特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
食道
胸部食道癌根治手術における横隔膜リンパ節(No 111),後縦隔リンパ節(No 112)の郭清
佐々木 公一
1
Koichi SASAKI
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.717-719
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210004
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胸部食道癌根治手術における横隔膜リンパ節(No 111),後縦隔リンパ節(No 112)郭清の意義については未だ明確な議論はなされていない.特に胸部食道と胸部下行大動脈の間溝に沿って存在するNo112リンパ節に関しては成書の記載も不十分である.
胸部中,下部食道から尾側に向かうリンパ流は後縦隔の旁食道リンパ節,旁大動脈リンパ節を経て乳び槽や胸管に入り,途中でNo 111リンパ節とも連絡しながら腹腔動脈周囲リンパ節へ流入するといわれている.従って合理的郭清という観点からすれば,これらの領域のリンパ流や転移実態の解明は今日の重要な課題である.
横隔膜リンパ節(No 111)郭清:腹腔側より食道裂孔を開大し,一方に偏することなく左右の壁側胸膜を露出するようにリンパ節を含め食道周囲組織を広く切除することが重要である.右胸腔側からの郭清は横隔膜上部のリンパ節を対象に行う.
後縦隔リンパ節(No 112)郭清:気管分岐部から横隔膜までのレベルで,胸部下行大動脈に沿い右側2/3周の大動脈壁を露出するように周囲結合組織とともにNo 112リンパ節を食道側へつけてen blocに切除する.
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