特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
食道
食道癌・上縦隔リンパ節の郭清
松原 敏樹
1
Toshiki MATSUBARA
1
1癌研究会付属病院外科
pp.714-716
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210003
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上縦隔や頸胸境界部における食道の支配動脈や神経は同時に気管の支配動脈,神経でもある.この意味で食道と気管はいわば共通の間膜を持っているといえるが,このことが食道癌に対する完全な郭清操作を困難なものとしている.術後合併症防止のためには不必要に郭清範囲を拡大して手術侵襲を大きくすることは避けるべきであり,転移状況に応じて,手術侵襲と郭清効果のバランスのとれた術式を選択することが重要である.左右気管支動脈をすべて切断することは気管・気管支の血流維持の面で危険が大きい.神経系では,両側反回神経麻痺は可及的に避けるべきであり,また気管や肺の神経支配も温存することが望ましい.我々は通常の術式においては左右気管支動脈や迷走神経気管枝,肺枝を温存するように心がけている.
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