Japanese
English
臨床研究
保存的治療を基本方針としたイレウス自験例68例の検討—特にlong intestinal decompression tubeの意義について
Management of 68 cases of intestinal obstruction and notes on usefulness of the long intestinal decompression tube
小関 和士
1
,
橋本 正治
1
,
望月 泉
1
,
中村 達也
1
,
森野 一真
1
,
桜本 基嗣
2
Kazushi KOSEKI
1
1山形県立新庄病院外科
2山形県立新庄病院内科
pp.255-260
発行日 1988年2月20日
Published Date 1988/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209933
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はじめに
イレウスは,極めて日常的な疾患ではあるものの,診断治療上の問題点は少なくない.絞扼性イレウスは,絶対的な緊急手術適応であることに異論はないものの,その診断は容易でないことも多く,また,単純性イレウスは,極力保存的に対処するのが常識的になりつつあるとはいうものの,初診時単純性イレウスと診断した症例の中にも緩徐に進行する絞扼性イレウス症例も潜在しており,これを確実に否定し,確固たる治療方針をたてることは必ずしも容易なことではない.さらに,単純性イレウス症例の中には,腸管減圧を中心とした保存的治療によって腹部所見は劇的に好転しても通過障害は改善せず,最終的には開腹を要した場合,結果的に早期手術が得策であったと反省せざるを得ないことも経験され,一律に保存的治療に執着するのも賢明とはいいがたい.
われわれは,最近2年間にイレウス症例84例を経験したが,絞拒性イレウス以外は極力保存的に対処することを基本方針として治療を進めてみた.本稿では,特に初療として経鼻管による腸管減圧療法が行われた68例をretrospectiveに検討し,イレウスの診断治療上の問題点を指摘するとともに,腸管減圧の手段として内視鏡的に確実かつ比較的容易に幽門を越えて挿入留置できるようになったlong intestinal decompres-sion tubeのイレウス治療における意義について考察した結果,若干の知見を得たので報告する.
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