文献抄録
軟部組織肉腫患者の再発肺転移の切除
原 真一
1
,
遠藤 昌夫
1
1慶応大学医学部外科
pp.1200
発行日 1987年7月20日
Published Date 1987/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209769
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最近,軟部組織肉腫の患者に初めて再発した孤立性の肺転移を切除し,長期生存を得た報告が幾つかあるが,われわれの知る限りでは,その後に,再び再発した肺転移を切除しその意義と基準を示した報告はない.
われわれは,1976年から1983年までの間に,軟部組織肉腫が再発し肺転移を来した症例を35例に経験した.これらのうち6例は術前検査にて肺転移巣の切除は不可能と判断され,残りの29例が肺切除を受けた.17例が男性,12例が女性で,平均年齢は38歳(12〜63歳)であつた.2回目の肺切除からの経過観察期間の平均は46ヵ月であつた.胸部X線写真,骨スキャン,胸部断層写真により,他の部位の転移が調べられた.原発巣の手術時に認めた肺の転移巣が切除可能と判断した症例では,原発巣の手術の前に試験開胸を行い肺切除の可能性について検討した.異時性に認めた肺転移に対しては,以上の基準が満たされた場合に肺転移巣の初回切除が行われた.①原発巣が局所的にコントロールされている.②他に転移を認めない.③X線所見が胸部断層写真やCTスキャンでみられた肺転移と一致する.④転移巣が切除可能に見える.⑤残存する機能的肺組織の量が十分な肺の実質的な予備能を期待できる.—その後,ふたたび出現した肺転移に対しても同じ基準で肺切除が行われた.
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