カラーグラフ 乳腺疾患の外科病理・7
粘液乳癌—穿刺吸引細胞診診断例
山科 元章
1
1埼玉医科大学第一病理
pp.1168-1169
発行日 1987年7月20日
Published Date 1987/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209763
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乳癌のなかで粘液癌は比較的まれな癌腫で(乳癌全体の1〜4%1)),それゆえに散発例が相ついで報告されるが,本邦でのその総数はいまだに少ない.この粘液乳癌のなかには,粘液産生が腫瘍細胞数に比して著しく強いものがあり,そのような例では硬結としての臨床所見に乏しく,癌としての診断治療が困難となることも少なくない.一方,穿刺針細胞診で,適確に病巣からの検体が得られると,本腫瘍の特徴的な所見から,術前確定診断は容易となる.今日,この乳腺穿刺吸引細胞診は,臨床所見(触診・画像診断)を併せると,98%という陽性診断精度も有している.本稿では,通常型の乳癌とは異なる病理形態所見と生物学的特性をもつ狭義の粘液癌の細胞診所見とともに,その腫瘍の最新の知見を紹介する.
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