文献抄録
早期胃癌の一亜型—粘膜上皮下潜在印環細胞癌の診断
山科 元章
1
1埼玉医大病理
pp.1105
発行日 1987年6月20日
Published Date 1987/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209753
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1984年の米国癌協会の統計によると,年間の全癌腫に占める胃癌の頻度は2.8%で,胃癌は米国では肺癌,結腸癌,乳癌,前立腺癌,子宮癌,膀胱癌,膵癌,そして悪性リンパ腫につぐ第9位の悪性腫瘍とされている.1930年以来,米国ではこの胃癌罹病率は年々著明な減少傾向を示してきたが,胃癌患者の5年生存率はいまだに13%という低値が報告されている.これらの統計数値だけを日本のそれと比較しても,米国では早期胃癌に対する診断体制が日本のように活発に機能していない現況が察せられる.現実に米国の臨床医の間では,早期胃癌より早期肺癌や早期結腸癌などへの診断意欲がより高く,一般大衆の間でも,胃癌に対する意識はほとんどないと言つても過言ではない.
しかし,ここ数年来,消化器専門医を中心に日本の早期胃癌,およびその分類法の概念が浸透し,それに匹敵する症例も多く報告されるようになつてきている.そして,地域・施設によつては,かなりのレベルの早期胃癌診断体制が整つてきていることが認められる.
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