胃と腸 図譜
大腸印環細胞癌
山野 泰穂
1
1秋田赤十字病院消化器病センター
pp.1718-1721
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113630
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1 概念,病態
Laufmanら1)の報告に始まる大腸印環細胞癌はまれな疾患であり,これまでの報告では全結腸癌の0.24~2.6%とされている2).男女比はほぼ同等とされているが,発症年齢に関しては全結腸癌では70.1歳に対し,大腸印環細胞癌では45.7歳と,若年(40歳未満)発症が多い傾向にあるとされている3).占居部位に関しては,全結腸癌では直腸,S状結腸に多いのに対して,大腸印環細胞癌では盲腸や右側結腸に多いとする報告もあるが,報告例の検討より特に特徴を有さないとされている4).
悪性度に関して,浸潤性増殖を示す傾向が強いため早期癌での報告例は少なく,SS,SEの強い浸潤を来した進行癌の状態で発見されることが多い.したがって,リンパ管侵襲,静脈侵襲とも高度に認め,リンパ節転移,腹膜播種が高率に認められる一方で,肝転移の報告はなく,遠隔転移として皮膚,乳腺,卵巣,前立腺へ転移の報告があるが,まれである5).
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