今月の主題 sm胃癌の問題点(2)―陥凹型症例
sm胃癌主題症例をみて
陥凹型早期胃癌の粘膜下組織浸潤の肉眼所見
中村 恭一
1
K Nakamura
1
1筑波大学基礎医学系病理
pp.219-221
発行日 1982年2月25日
Published Date 1982/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108772
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粘膜下組織へ癌が浸潤している早期胃癌(以下,sm癌とする)は,同じ早期胃癌として定義されている粘膜内癌とは治療および予後の点で異なるため,それらの術前における鑑別診断が要請されている.しかし,早期胃癌において,高い確率をもって“それはsm癌である”と診断しうるような所見はない.sm癌の中には,粘膜下組織における癌の量が顕微鏡的大きさのもの(Fig. 1)から,癌が局所の粘膜下組織をほとんど占めていて癌塊を形成しているいわゆるBorrmann 2型または3型と言えるものまで,幅広く含まれているからである.したがって,早期胃癌の中でただ単にsm癌ということのみで条件づけられた場合には,sm癌の所見であるとして普遍化しうるような所見を見出そうとすること自体が不可能である.したがって,sm癌と条件づけされた中で,癌の基本的なそしてより客観的に把握できる所見による条件づけを行い,それぞれの条件のもとにおいてsm癌を確率的に判断することが必要であろう.
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