Japanese
English
外科医の工夫
新しい膵管チューブの開発と応用
A product of new pancreatic drainage tube
加藤 紘之
1
,
阿部 一九夫
1
,
児嶋 哲文
1
,
田辺 達三
1
Hiroyuki KATOH
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.405-409
発行日 1987年3月20日
Published Date 1987/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209661
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はじめに
膵頭十二指腸領域癌をはじめとして膵切除・再建を要する疾患は少なくない.膵癌,慢性膵炎など,膵管が著明に拡張し,しかも膵液排出量も多くない場合の再建はさして困難ではないが,中下部胆管癌など膵管の拡張がなく,膵液分泌量も多い,いわば非障害膵の再建は合併症発生の危険性が高く,膵液漏出がおこると重篤となることが多い.
従来から種々の再建法が工夫提案されているが定まつたものはなく,術者の会得したコツといつたものに委ねられているのが現状である1-5).コツとして述べられている手技にもいくつかの共通点があるが,膵管チューブによる確実な膵液ドレナージが吻合の成否を決定する重要なポイントであることは論を待たない.従つて固定性に優れ,確実な膵管空腸吻合が可能なチューブの開発が望まれてきた.著者らは住友ベークライト社の協力を得て,新しい膵管チューブを開発し使用しているが有用性が高く,膵臓外科手術の進歩に寄与しうるものと考え,チューブの紹介とそれを応用した膵空腸吻合手技の実際を述べる.
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