画像診断 What sign?・38
"filiform" polyposis
佐藤 豊
1
1聖マリアンナ医科大学放射線科
pp.1169
発行日 1986年7月20日
Published Date 1986/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209490
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"filiform" polyposis(糸状ポリポーシス:filiはラテン語のfilum=糸)は1974年Appelman1)によつて慢性期の潰瘍性大腸炎の所見として記載されたが,大腸クローン病,大腸結核,大腸ベーチェット病などの,広範な大腸粘膜の炎症を伴う大腸炎の慢性期に非特異的におこることが知られている.注腸所見は長さ2〜15mm,通常5mm以下の細長い陰影欠損が潰瘍を伴わない結腸粘膜を背景に多発性に観察される.この細長い陰影欠損像は,直線状で有茎性ポリープの柄のようにみえるもの,放射状を呈するもの,あるいは樹枝状分枝を示すものなどが混在している.これらは急性期にみられた広範な潰瘍面を背景に島状にとり残された浮腫状結腸粘膜(pseudopolyposis)に上皮の再生が加わつたものと考えられている2)."filiform" polyposisは悪性化することはなく,家族性ポリポーシスなどとの鑑別を要する.
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