特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅳ.併存疾患をもつ外科患者の薬物療法
6.肝・胆・膵
薬物性肝障害
藤沢 洌
1
1東京慈恵会医科大学第1内科
pp.838-839
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209405
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□基本事項
1)薬物性肝障害は化学物質との接触暴露や医薬品の服用によつて発症する肝障害であつて,薬物あるいはその代謝中間体が直接肝に作用して肝障害を惹き起こす中毒性肝炎toxic hepatitisと,薬剤アレルギーに起因して発症する薬剤起因性肝障害drug induced liver injuryに大別されるが,通常の医薬品による薬剤性肝障害は後者のアレルギー機序によるものがほとんどである.
2)一般に薬剤やその代謝中間体は低分子であるため,それ自体は抗原性を示さないが,肝細胞蛋白と結合して不完全抗原ハプテンが生じ,特定の個体に非自己の抗原としての認識が成立すると,肝を主座とする免疫反応—遅延性アレルギー反応—が起こり,薬剤過敏性肝障害が発症すると理解されている.
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