シリーズ・がん集学的治療—いま,放射線療法は・7【最終回】
Pancoast型肺癌の組織内照射
森田 皓三
1
,
高木 巌
2
1愛知県がんセンター病院放射線治療部
2愛知県がんセンター病院外科第2部
pp.241-244
発行日 1986年2月20日
Published Date 1986/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209260
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Pancoast型肺癌の定義1)は難しく,神経症状なく肺尖部に原発する肺癌も含んでいる報告も多い2-4).本報告では肺尖部末梢肺に原発し,胸壁直接浸潤のために患側の肩から腕に及ぶ疼痛を主とするPancoast症候群の内のいくつかの症状をともなうT3肺癌とする.この疾患は原発性肺癌の1〜3%を占める.従来,この疾患は発育が緩徐で,肺門・縦隔リンパ節転移及び遠隔臓器転移がすくないといわれて来たが,日本では組織学的にも扁平上皮癌よりもむしろ腺癌とくに低分化腺癌が5)高率を占め,転移頻度が高い.このことが日本では局所的にも完全切除が難しいこととあいまつて,この疾患の予後を不良としている.
Pancoast型肺癌の中でも尺骨神経領域の疼痛,知覚異常などの症状のあるものは,X線単純写真で第一・二肋骨根部や第一,二胸椎の融解像をともなうのが普通であり,尺骨神経障害のない症例にくらべ完全切除の可能性は著しく低いものとなる.このような症例に対して,本施設では,1975年8月から192Irシードアセンブリーによる組織内照射を,手術療法と併用して施行し,その局所制御率の向上を図つている8,12).以下にその手技および結果を報告する.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.