Japanese
English
臨床研究
食道癌術中大量コロイド輸液の意義
Effects of intraoperative colloid infusion for esophageal cancer
北野 光秀
1
,
安藤 暢敏
1
,
大上 正裕
1
,
棚橋 達一郎
1
,
山本 裕
1
,
池端 幸彦
1
,
小沢 壮治
1
,
阿部 令彦
1
Mitsuhide KITANO
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.1573-1578
発行日 1985年11月20日
Published Date 1985/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209185
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はじめに
食道癌根治手術は開胸開腹という外科的大侵襲に加え,高齢,重要臓器の予備力の低下,低栄養などの生体側の不利な要因もあり,術後に呼吸不全,循環不全などの致命的な合併症に陥る危険性が比較的高い.教室では10年来,Swan-Ganz catheterおよびレスピレーターによる呼吸循環管理を施行してきたが,食道癌術後循環動態の解析の結果,多くの症例が術直後にhypovolemiaに傾くことが判明した.したがつて術中には10 ml/kg/hr以上,術当日から術後1病日には3.0〜3.5 ml/kg/hrと十分にhydrationを行い,逆にrefilling期の3〜4病日には1.5ml/kg/hr以下に制限する輸液管理を施行してきた1).
しかし,その輸液内容は術後にはコロイド輸液を併用したが,術中は電解質輸液のみであつたため,術後早期の膠質浸透圧低下による悪影響として,肺間質浮腫や低酸素血症の遷延化が危惧された.そこで術中よりコロイド輸液を比較的大量に使用し,その有効性や問題点につき検討した.
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