講座 腫瘍マーカー—適応と限界・5
肺癌
土屋 了介
1
Ryosuke TSUCHIYA
1
1国立がんセンター病院外科
pp.1286-1287
発行日 1985年9月20日
Published Date 1985/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209135
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はじめに
肺癌は他の臓器の癌に比べ予後が極めて不良であり,肺癌と確定診断のついた肺癌患者全体の5年生存率は10%にすぎない.切除例の5年生存率でも35%であり,早期診断の方法論の確立が強く望まれる癌の一つである.
現在では中枢の気管支に発生するいわゆる肺門部早期肺癌に対しては喀痰細胞診が,また末梢肺に発生する肺野部早期肺癌に対しては胸部X線写真が早期発見に有力な手段とされているが,先にのべたような治療成績しか得られていない現状では,これら2つの手段にかわる早期診断の方法が待望されるわけである.このような背景のもとに肺癌の早期発見のために形態学的診断の進歩に対する努力とともに,腫瘍マーカーの応用に強い期待が寄せられるわけである.
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