Japanese
English
Bedside Teaching
肺癌の新しいTNM分類
New TNM classification for lung cancer
土屋 了介
1
Ryosuke Tsuchiya
1
1国立がんセンター病院外科
1Department of Surgery, National Cancer Center Hospital
pp.409-413
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205457
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TNM分類の目的は予後の予測
肺癌の治療方針の決定は他の臓器癌と同様に癌の進展範囲に基づいて行われる。これは癌の進展範囲によってその患者の予後が左右されるからに他ならない1)。したがって,正確な進展範囲の診断は肺癌の診療において重要な位置を占めているといえよう。また同時に臨床研究の目標を定めるためにも必要であるといえよう。このような目的のためにはできるだけ患者の負担の少ない検査で正確にTNM分類が決められることが望ましい。しかしながら,現状では手術例においては術前の評価と術中術後の評価では一致率が低いのである2)。外科的な切除以外に根治的な治療法のない現時点では,完全切除が可能かどうか疑問な症例もとりあえずは開胸して病変の広がりを確認するということを怠らなければ患者の治療方針に大きな間違いを起こすことはないのであるが,折角開胸しても病変の広がりが術前の予測を越えていたために切除が困難であったり,不完全な切除に終わった症例では患者に大きな負担をかけることになってしまうのである。したがって非観血的に正確なTNM分類を行うことは的確な治療に欠かせないのである。
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