シリーズ・がん集学的治療—いま,放射線療法は・1【新連載】
外科領域における放射線治療
望月 幸夫
1
1東京慈恵会医科大学放射線科
pp.1091-1097
発行日 1985年8月20日
Published Date 1985/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209088
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はじめに
放射線は電離放射線と非電離放射線の2つに大別されるが,放射線療法は一般には表1に示す電離放射線を用いて行う治療のことである.放射線療法は癌の根治的治療の一つであり,その適応症例にかなりの治癒率が得られているのはよく知られている.そして癌が諸治療法の共同作業で治療されるようになりつつある今日でも手術療法と並んで癌治療の大きな柱であることは変わりはない.現在,行われている放射線単独療法,及び放射線併用療法とその適応のあらましを表2に示す.一見してわかるように放射線療法は放射線治療単独あるいは手術や化学療法と併用され行われており,その場は多岐にわたつている.放射線治療には根治的な治療としての役割のほかに,腫瘍による疼痛や管腔臓器の狭窄の改善などを目的とする極めて広範囲な対症的治療の役割が存在することもよく知られている.これらのなかから今日,放射線治療が軸の治療として適応される疾患を表3に示す.放射線療法の特徴は癌の根治的治療手段になりうるということの他に形態と機能の保持において優れていることであるが,このような観点から放射線療法の適応を考えてみると,手術療法と同等以上の治癒が得られる疾患と,手術療法が不可能または不向きであるが,放射線療法でかなりの治癒が期待できるものとしてよいであろう.
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