交見室
前立腺癌の放射線療法について/膀胱内圧測定時のtwo way方式について(尾本徹男先生へ)
望月 幸夫
1
1慈恵医大放射線科
pp.1030
発行日 1977年11月20日
Published Date 1977/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202457
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臨泌31巻9号に掲載された綜説「前立腺癌の放射線療法」(河合恒雄,武田 尚,津屋 旭,金田浩一,福島修司 著)を拝読した。
前立腺癌に対する放射線療法はかなり以前から試みられているが,未だ一般的な治療法には至つていない。その決定的な理由はHugginsらによる内分泌療法の確立であろう。以来わが国においては内分泌療法が前立腺癌治療の主流となつた感があるが,欧米においてはestrogen療法による心血管系の障害が多く,そのために不幸な転帰をとる例が多いことが問題となり,他の治療法が検索されてきた。1962年に至り,Bagshowらにより限局性前立腺癌に対する高エネルギー放射線治療の優れた成績が発表されてから,欧米を中心に高エネルギーX線による前立腺癌の治療が行なわれている。しかし,わが国ではestrogen療法の障害が少ないためか放射線療法が行なわれることは稀である。したがつてこの領域での論文は極めて少なく,この意味からこの綜説は注目に値するものであり,かつ優れたものであつた。著者はいずれも泌尿器科領域の放射線治療に経験の深い方々であり,特に筆頭者の河合氏は放射線に興味をもち,長年にわたり泌尿器科領域の放射線治療に従事している泌尿器科医であることはよく知られている。前立腺癌放射線治療の歴史から始まり,前立腺癌の放射線感受性,治療の適応,治療手技,副作用,治療成績などが貴重な治療経験とともに綜説的に述べられている。
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