特集 がん・画像診断の死角
甲状腺
河西 信勝
1
1癌研附属病院頭頸科
pp.151-165
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209029
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はじめに
各種臓器における腫瘍の中で,甲状腺腫瘍は乳腺腫瘍とともに体表に近く位置し,原則として触診が可能な数少ない腫瘍の一つである.このため,各種補助診断法の研究が遅れた.しかし近年,"適切な術前診断は適切な手術を導びくために,必要欠くべからざるものであり,適切な術前診断は適切な手術の一部である."とする考えが定着し,補助診断法に対する研究は急速に発展した.著者に与えられた主題である"甲状腺"に関する画像診断として現在広く用いられているものに,1)甲状腺シンチグラフィー(131I,123I,−99mTc),2)甲状腺X線診断法(頸部単純X-P,軟X線撮影,Xeroradiography),3)超音波診断法,4)甲状腺リンパ管造影法,5)甲状腺血管造影法,6) CT,7)腫瘍特異的シンチグラフィー(201Tl,67Ga)などがあげられる.
これらの検査法は,触診と甲状腺シンチグラフィーのみにたよつていた時代から,腫瘍の質的(良性・悪性)診断を中心とする甲状腺X線診断,腫瘍特異的シンチグラフィーへの移行と見ることができるが,これらの質的診断法に対する評価はいまだ一定ではない.
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