特集 がん・画像診断の死角
小腸
福島 恒男
1
,
土屋 周二
1
1横浜市立大学医学部第2外科
pp.63-68
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209024
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はじめに—小腸の場合—
小腸の癌はきわめて少なく,全腸管癌の約1%を占めるにすぎない.発生部位としては十二指腸がほぼ半数を占め,残りの約半数が空腸と回腸から発生する.空腸と回腸の発生頻度を比較すると約2:1で空腸に多い.また空腸を上,中,下部と3等分するとほとんどが上部空腸に発生する.一方,回腸も同様に上,中,下部と3等分するとほとんどが下部回腸に発生する.このことから,少なくとも小腸の癌を疑つた場合には空腸上部か,回腸下部に注目する必要があろう.
また,小腸には癌だけでなく,adenoma,polyp,lipoma,myoma,fibroma,angiomaなどの良性腫瘍やlymphosarcoma,leiomyosarcomaなどの肉腫,転移性腫瘍などもあり,これらとの鑑別診断も重要である.
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