特集 どこまで活用できるか新しい手術器械
Microwave Surgery
田伏 克惇
1
,
勝見 正治
1
,
田伏 洋治
1
,
小林 康人
1
,
永井 祐吾
1
,
江川 博
1
,
野口 博士
1
,
森 一成
1
,
山上 裕機
1
,
青山 修
1
,
東 芳典
1
Katsuyoshi TABUSE
1
1和歌山県立医科大学消化器外科
pp.1265-1273
発行日 1984年9月20日
Published Date 1984/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208804
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Microwaveは,周波数2〜30GHz,波長1〜15cmの電磁波をいい,そのなかの2450±50MHz(2.5GHz±50Mz;波長12cm)のマイクロ波は,ITU規約により医療用として国際的に認められた波である.その特性は,波長がきわめて短いので極超短波ともいわれている.すなわち,直進性があり,反射,屈折が起こり,透過性があり,また干渉作用がある.したがつて体外照射法では,反射および屈折が生じ,電磁エネルギーの損失が体表面で起こる.さらに,光と違つて不透明なものでも透過するが,その透過性には限界があり,約3cmとされている.したがつてマイクロ波の電磁エネルギーを生体内に集束することは従来困難であつた.
このマイクロ波の臨床応用においては,表面アンテナとして空洞導波管,パラボラアンテナ,腔内アンテナなどと呼ばれるものを使つて,体表面すなわち組織からの照射(external radiation)で主に温熱療法(hyperthermia)として用いられてきた1-3).これを組織内照射(internal radiation)として用いることにより,外科手術機器への応用拡大できることに着眼し,肝切除用Microwave Tissue Coagulatorを考案したのである4)が,マイクロ波メスとしての概念を生み,これを用いて行なう外科的治療をMicrowave Surgeryと定義づけに至つた.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.