Coffee Break
Minimally invasive SurgeryとMaximally invasive Surgery
公文 裕巳
pp.132
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900873
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Minimally invasive surgeryの確立は,われわれ外科系医師の目指すべきひとつの方向性であることに間違いはない。ここ2,3年の腹腔鏡下泌尿器科手術のめざましい普及は,1980年代に経験したEndourologyに関する新しい機器と技術の洪水の頃を髣髴させるものである。しかし,minimally invasive surgeryのための急峻な学習曲線の過程では,合併症などのために逆にmaximally invasive surgeryへと進展してしまう症例がありうることも常に考えておかなくてはならない。
7年前に経験した40歳の症例です。腎盂尿管移行部狭窄に回転異常とを伴う左腎結石症例であり,まず経皮的腎結石摘出術を行うこととしました。腎盂と各腎杯間の交通性が悪く砕石は困難で長時間を要し,かなり大量の腎外溢流も認めました。術後腎瘻よりの出血が持続したため,意図的に腎瘻を閉塞,一過性に腎タンポナーデの状態として止血しました。術後数時間後より血圧の低下あり,保存血輸血で対応していましたが,翌日,左腎摘出術を余儀なくされました。上極部に数mmの腎破裂痕を認めましたが,灌流液の溢流後の出血であり,後腹膜血腫は対側を含め膀胱前腔にまで及んでいました。2日目後,尿量が減少,血腫による右尿管の通過障害に伴う水腎症を認め,経皮的に腎瘻を造設しました。
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