Japanese
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臨床研究
甲状腺分化癌の頸部リンパ節転移状況
The cervical lymph node metastases in differentiated carcinoma of the thyroid
野口 昌邦
1
,
田中 茂弘
1
,
宮崎 逸夫
1
Masakuni NOGUCHI
1
,
Shigehiro TANAKA
1
,
Itsuo MIYAZAKI
1
1金沢大学医学部第2外科
pp.1189-1194
発行日 1983年8月20日
Published Date 1983/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208411
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はじめに
甲状腺分化癌は他の臓器の癌に比して,その生物学的悪性度は低く,その予後も良好である.そのため,従来から甲状腺癌においては領域リンパ節の系統的郭清を不要とする意見も多くみられる.しかし今日,甲状腺癌の再発例はしばしば経験され,しかも再発甲状腺癌の手術は困難を伴い,二次的損傷の危険性も高くなる.さらに腫瘍による気道圧迫や未分化癌化のため不幸な転帰をたどる症例も少なからず見うけられる1,2).従つて甲状腺癌において手術が唯一の確実な治療方法である以上,初回手術の重要性は十分に強調されるべきであると考えられる.
近年,私どもは甲状腺分化癌に対して甲状腺亜全摘と,1側の頸部リンパ節郭清と両側気管傍リンパ節郭清を行う手術を標準手術として原則的に採用し,更に癌の進行度に応じて甲状腺全摘術や両側頸部リンパ節郭清術を施行するなど系統的リンパ節郭清を行つてきた.今回これら甲状腺分化癌症例のリンパ節転移状況について検討したので報告する.
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