Japanese
English
特集 新しい抗生物質と外科
消化器外科と抗生物質
感染を防止するにはどうするか
肝・胆・膵手術
Prophylactic antibiotics in hepatobiliary surgery
品川 長夫
1
,
真下 啓二
1
,
中村 明茂
1
,
三宅 孝
1
,
石川 周
1
,
高岡 哲郎
1
,
由良 二郎
1
Nagao SHINAGAWA
1
1名古屋市立大学医学部第1外科
pp.1501-1507
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208146
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はじめに
いかなる手術であつても,いかに抗生物質などによる化学療法が進歩しても,術後感染を完全に予防することは不可能である.近年,感染に対してより防御能力の低下した症例に対してもより大きな手術侵襲が加えられるようになつてきており,術後感染の背景因子はより複雑化してきている.消化器外科領域において,ことに肝・胆・膵の手術については近年におけるその進歩発展は他の分野に比較し著しいものがある.
肝・胆・膵手術後の感染は他の消化管手術例,特に下部消化管手術例と比較しその頻度は高くはない.しかし黄疸など肝障害,腎障害および各種の臓器障害を術前より伴つている症例が多く,ひとたび感染を併発するとその治療は容易ではない.術後感染の効果的な予防対策は手術成績に直結するものであり,合目的々な方法がとられなくてはならない.ここでは肝・胆・膵手術後の感染について,その発症要因,分離菌などについてふれるとともに,予防的抗生物質投与について教室の成績を中心にしてその実際について述べる.
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