今月の主題 実地医のための臨床細菌学
感染症の管理
術後感染症
由良 二郎
1
,
品川 長夫
1
,
石川 周
1
,
松垣 啓司
1
,
花井 拓美
1
1名市大第1外科
pp.1011-1015
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207950
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はじめに
外科領域における感染症として最も重要なものは術後感染症である.これは外科手術に伴う最も不快な合併症であり,その予防ならびに治療は手術成績の向上のためには欠かせざる重要事項である.そして近年では,術前術後の管理および麻酔の進歩,手術術式の向上などにより,抵抗力の弱い個体に対しても過大な手術侵襲が加えられるようになって感染性合併症の発生機会が増加し,加えて新しい化学療法剤の出現と相まって,術後感染症の様相は複雑多岐なものとなってきている.すなわち,菌交代現象,弱毒菌の台頭,抗生剤耐性菌の増加などであり,これらに対する予防対策および治療法の確立は外科手術成績の向上につながるものである.
術後感染症に対しては古くより多くの優れた研究1〜4)がなされているが,未だ数多くの問題を残しているのが現状である.本稿では,術後感染合併症について教室の成績をもとに,その現況,予防および治療について述べ,あわせてその問題点についても論じてみたい.
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