特集 外科外来マニュアル
私の治療
一般
脱疽
和田 寛治
1
1長岡赤十字病院外科
pp.774-775
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208021
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□概説
壊疽ともいい,壊死の一種であり,正確には局所死に陥つた組織が,外界と接触するとき,血色素の変性により,褐色から黒色に陥つた状態をいう.乾性,湿性に分類出来るが,混り交つたものも多い.また,壊死が脱落したもの,あるいは壊死が腐敗性変化を合併したものを壊疽と呼ぶ場合もある.
脱疽は,一般的に以前より特発性脱疽なる語で常用されているが,表1の分類からするとそれは慢性動脈血行障害の中の閉塞性血栓性血管炎に相当する(Thromboangitis obliterans).その本態は,末梢動脈閉塞による重篤な組織阻血症状である.欧米では閉塞性動脈硬化症(Arterioscle—rosis obliterans)と同一視するむきもあるが,発生年齢が比較的若年で喫煙との密接な因果関係,上肢にも出現することから,分けて考えられている.
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