Japanese
English
綜説
特発脱疽の治療に対する検討
Tratment of Endarteriitis obliterans
橋本 義雄
1
,
神谷 喜作
2
,
岡田 斌
2
Yoshio HASHIMOTO
1
,
Kisaku KAMIYA
2
1名古屋大学医学部第一外科教室
2徳島大学医学部外科教室
1Surgical Department of Medical School of Tokuoshima Vniversity
pp.359-365
発行日 1954年6月20日
Published Date 1954/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201448
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特発脱疽についての研究は我が国に於ても古くより多くの学者によつて行われているが,これを大別すると,その罹患血管の組織学的研究,動脈造影法に関する研究,及び治療に関する研究等である.治療としては各種薬物療法,レントゲン照射等の外,動脈周囲交感神経切除術,閉塞動脈切除術,及び交感神経節切除術,末梢神経挫滅法,頸動脈毬剔出術等が報告されているが,最も多く行われ又比較的成績のよいのは交感神経節切除である.しかしこの方法も日常いろいろな状態の患者に施してみて,決して満足すべき成績はえられていないことを痛感しているのはひとり我々のみでないと思う.この交感神経節切除術の成績の不十分な場合があること或は日を経るにつれて効果のうすらぐことのあるのは手術的に交感神経線維を充分に遮断することが解剖学的に困難なこと1)及び交感神経線維の再生するためと云われている2).勿論交感神経遮断は末梢血管の拡張を予期する手術であるから,側副血行の健全なること,又末梢動脈の変性のないことがその効果の前提条件である.従つて試験的にノボカインで一時的遮断を試み,皮膚温度の上昇を検することが必ず必要なわけである.この様に脱疽に対する治療として,交感神経に対する薬物的,手術的侵襲はかなり深く研究されていると思う.しかし特発脱疽もその本態に関しては,依然不明の点が多く残されている.
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