特集 外科外来マニュアル
私の治療
胸部
帯状疱疹
伊藤 通成
1
1国立療養所中野病院外科
pp.718-719
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208000
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□診断上の注意
後医は名医なりと言われるが,癌,突発性発疹,Varicella-zoster virus(VZV)による帯状疱疹(Herpes zoster,HZ)など,初診時には決め手となる所見がないかあるいはそれを見落としていた疾患が後から正体を現わして思わぬ恥をかくことがある.
HZは疼痛,知覚異常,掻痒,発疹が相前後して認められるが,数日激しい疼痛だけが続き,発疹がない時期に患者が来院した場合は,鑑別診断に苦慮する所である.顔面,頭部では,片頭痛,メニエール氏病,緑内障,胸部では,自然気胸,狭心症,心筋梗塞,肋間神経痛,腰腹部では,胆石症,尿路結石症,急性虫垂炎などの急性腹症,ギックリ腰などあらゆる可能性を考えて診療に当る必要がある.HZでは主として知覚神経が侵されるが稀には運動神経も障害され,当該筋の麻痺を生ずる.患者や家族にはHZの発病型式を説明しておくのも一法である.
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