特集 外科外来マニュアル
私の治療
胸部
心嚢穿刺
真栄城 優夫
1
1沖繩県立中部病院外科
pp.716-717
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207999
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□概説
心嚢穿刺は,心嚢内滲出液の診断と治療,心タンポナーデの救命処置として緊急で実施される.心膜炎による滲出液の場合,結核その他の感染症,尿毒症,悪性腫瘍,膠原病などが原因となるが,慢性の貯溜であるので,数百mlの液が貯溜してはじめて症状が発現する.しかし,外傷にみられる心タンポナーデのような急性の貯溜の場合は,心膜は伸展することができず,150ml程度の貯溜でも症状が出現し,200mlでも致死的となる,何れの場合でも,25〜50ml程度の少量の排液でも,著明な症状の改善がみられる.
心タンポナーデでは,血圧低下の出現する前に脈圧が減少する.また,血圧低下の程度に比して,脈拍は早くならない.頸部静脈の怒張やCVPの上昇は,出血などによる循環血液量の減少を伴つている場合には,前面には出現して来ない.ショックに対する急速輸液によつて初めて,潜在していた心タンポナーデの典型的な症状が出現してくる.
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