特集 術後1週間の患者管理
虫垂炎手術
豊島 宏
1
1日赤医療センター消化器外科
pp.551-555
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207663
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汎発性腹膜炎や膿瘍形成があつても,急性虫垂炎による死亡例はほとんどみられなくなつた.これは抗生剤の開発,術後の呼吸・循環管理や補液法の進歩,肺合併症や静脈血栓症防止のための早期離床などによるところが多い.
しかし,稀ではあるが術後出血,遺残膿瘍,腸瘻,腸閉塞などの術後合併症により困難な経過をとる症例もみられる.これらは術中の操作や手技と関連することが多いが,早期に発見し適切に対応しなければ不幸な結果を招くことにもなりかねない.このためには,包交時に手術創やドレーンの排液の状態を観察し,胸部・腹部を丁寧に診察し,発熱などの変化をとらえることがまず大切である,再開腹については手術時期や術式を慎重に決定する,腸瘻や単なる腸管癒着症などはPolysurgeryのきつかけともなるので,あせらずに対処する必要がある.
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