Japanese
English
臨床報告
32年経過した外傷性浅大腿動静脈瘻の1例
A case report of longstanding traumatic arteriovenous fistula between the superficial femoral artery and vein
中村 宏
1
,
竹下 公矢
1
,
山田 武男
1
,
岩井 武尚
1
,
畑野 良待
1
,
毛受 松寿
1
,
滝沢 登一郎
2
Hiroshi NAKAMURA
1
1東京医科歯科大学第1外科
2東京医科歯科大学中検病理
pp.391-396
発行日 1981年3月20日
Published Date 1981/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207640
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はじめに
外傷性動静脈瘻は,鋭的損傷,なかでも銃弾などによる穿通性血管外傷に合併して生じることが多いが,わが国における発生頻度は少ない1).しかしながら欧米,特に米国においては,朝鮮,ベトナム戦争を通じて血管外傷学が発展するとともに,多くの症例が集計されてきた2,3).さらに一般市民の銃砲所持が認められていることから,市内での血管損傷も多く報告されている2).にもかかわらず,長い年月を経た外傷性動静脈瘻の治療経験についての報告は多くない4-10).本邦においては,幸いなことに穿通性外傷が少ないために報告は少なく11),20年以上経過した症例は,文献上わずか4例である1).
われわれは,第二次大戦直後の1948年,不発弾破裂により右大腿部に動静脈瘻を生じたが,32年間にわたり放置されてきた症例に対し,今回,外科的治療を行なつた.術後経過は順調であるが,術式,術後の問題点を示すととも,文献的考察を加えて報告する.
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