Japanese
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臨床研究
経静脈栄養法の院内システム化について
Intravenous hyperalimentation system at Tenri Hospital
松末 智
1
,
柏原 貞夫
1
Satoru MATSUSUE
1
,
Sadao KASHIHARA
1
1天理よろづ相談所病院腹部外科
pp.123-127
発行日 1981年1月20日
Published Date 1981/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207598
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はじめに
経中心静脈栄養法(以下静脈栄養とする)はDudrick等の発表1)以来広く普及し応用されるようになつた.とりわけ消化器外科医にとつては術前術後の管理面で最大の武器になつた感が深い.しかしながら未解決の問題も多く,今後さらに新たな問題の発生も十分あり得るのも事実である.今後は未解決な点を解決する様努力する一方,現在までに明らかになつているような問題点,特に合併症の発生を極力減少させるのが,この療法を患者に行なう者に課せられた責務であろう.特にカテーテル管理に起因するような合併症(カテーテルの自然抜去,汚染,菌血症等)は"life line"であるカテーテルの抜去とか,静脈栄養の一時中断とかをひき起こす場合が多く患者の不利益になる事,この上ない.さらに,日常的なブドウ糖利用に関する代謝性合併症も時には短時間のうちに致命的になる場合も多い.
こういつた種々の危険を孕んだ,しかし,非常に魅力的な治療法は,最早,看護婦,薬剤師等の直接的な関与無くして,医師だけで行なうのは無理と言える.特に医師の員数が制限されている市中病院では,その感が強い.故に,この治療法を安全に長期にわたつて行なうには一定のシステムを確立すべきものと思われる.しかしながら現状では各病院の事情もあろうが,2,3の病院を除いて2),一定のシステムになつていない場合が多いように思える.
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