Japanese
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特集 大腸癌根治手術の再検討—ポリペクトミーから拡大郭清まで
ポリペクトミーの適応と限界
endoscopic surgeryの立場より
Endoscopic polypectomy for early cancer of the colon and rectum
小平 進
1
,
阿部 令彦
1
,
固武 健二郎
1
,
勝又 貴夫
1
,
宮田 潤一
1
Susumu KODAIRA
1
1慶応義塾大学医学部外科
pp.969-975
発行日 1980年7月20日
Published Date 1980/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207468
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はじめに
大腸領域においては内視鏡的ポリペクトミーが普遍化し,形態的に適応を有するポリープは大腸のいかなる部位のものでもポリペクトミーが行なわれるようになり,大腸ポリープの的確な診断がなされるようになつた.これにより摘除されたポリープの中に癌が含まれていることも多く,早期大腸癌の発見される機会も多くなつてきている.と同時にこの手技が大腸癌の治療法の一つとしても取り入れられてきている.一方,癌の治療という面から考えると,粘膜内癌(m癌)の場合にはリンパ節転移などの転移陽性例の報告はなく,原発巣が完全に切除されているならば内視鏡的ポリペクトミーのみで治療法としても十分である.ただし癌が粘膜下層に浸潤している(sm癌)場合には,ポリペクトミーで原発巣を完全に切除しても,リンパ節転移が存在する可能性があり,完全な治癒手術とならない場合もある.
今回は私達が施行している内視鏡的ポリペクトミーの現況を癌症例を中心に報告するとともに,リンパ節転移を認めた2例のsm癌のポリペクトミー症例を報告し,大腸癌に対する根治的処置としての内視鏡的ポリペクトミーの適応と限界に関して若干の考察を加えた.
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