特集 癌のリンパ節郭清をどうするか
乳腺
基調論文—乳腺
泉雄 勝
1
1群馬大学医学部第2外科
pp.755-761
発行日 1980年5月20日
Published Date 1980/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207444
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乳癌の手術の流れと考え方
遠隔転移などを有する進行癌を徐いた,一般の乳癌に対して行なわれる主治療はいうまでもなく根治手術であるが,この最も基本的な手技は19世紀末にHalstedあるいはMeyerによつて創始された,今日でいう,定型的乳房切断術,すなわち乳房,大小両胸筋を切除しこれにen blocとして腋窩の郭清を加えるもの(乳癌取扱い規約1)でいう,Br+Ax+Mj+Mn手術)で,これが従来永らく,かつ広く行なわれてきたことは周知のごとくである.
次にこの定型手術で切除・郭清される範囲のほかに,今から20年程前から,Handley R.S.らにより提唱された,胸骨旁リンパ節の郭清(Ps)や,腋窩の第2次リンパ節である鎖骨上窩の郭清(Sc)などの,いわゆる拡大根治手術(extended radical mastectomy)なども,やや進行した症例を対象として行なわれてきた.ただこの方は,最も盛んに行なわれた年代より最近はやや後退ぎみで,無効とするものもあり,行なうものも症例を選んで行なわれる傾向にある.
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