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特集 食道癌手術の近況
胸部上・中部食道癌の手術
Operation for carcinoma of the upper and middle thirds of the esophagus
飯塚 紀文
1
Toshifumi IIZUKA
1
1国立がんセンター外科
pp.1239-1244
発行日 1978年9月20日
Published Date 1978/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207018
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手術の前に
胸部上・中部食道癌の手術を行なう場合,切除範囲や手術術式の決定にあたつては,病巣の占居部位,広がりや,リンパ節転移について十分に考慮しなくてはならない.第一に問題になるのが腫瘍の占居部位である.気管,気管支との位置的関係が問題である.胸廓は上部では狭くなつており,この狭い場所を食道は気管の後壁,更に左主気管支の後壁の膜様部に接して下降する.従つて腫瘍が食道の前壁にあり,外膜より外側に浸潤している時には気管,気管支と容易に剥離できるか如何かが問題になる.X線写真で腫瘍の広がり方を十分に把握しておかなくてはならないし,必要に応じて気管支鏡検査も行なわなくてはならない.切除手術の適応の決定にとって非常に重要なことである.肺外科において近年,気管,気管支成形手術の技術が非常に進歩したが,現在,食道の切除と同時に気管,気管支の切除,吻合が安全に行なえるかどうかには問題が残つている.
また,食道癌症例の約20%に壁内転移が存在する.上・中部食道癌の切除範囲の決定に大きな影響を及ぼすので,X線写真および食道鏡で,壁内転移の検索を十分に行なう.
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