カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・37
Zenker憩室
小野沢 君夫
1
,
鍋谷 欣市
1
,
新井 裕二
1
1杏林大学医学部第2外科
pp.1070-1071
発行日 1978年8月20日
Published Date 1978/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206995
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症例 52歳,女性
生来健康であつたが,10ヵ月前より頸部の不快感と食後のつかえ感が現われ,1ヵ月前より食物の口内への逆流・嘔吐を伴うようになり,当科を受診した.食道X線検査で,咽頭食道境界部左側後方に大きな憩室を認めた(図①).食道内視鏡検査では,食道入口部直上左後壁に境界明瞭な深い憩室があり(図2・図③),憩室粘膜には萎縮がみられるが,憩室内および憩室周囲の粘膜には潰瘍びらんを認めなかつた(図④).
Zenker憩室と診断し,手術を行なつた.左胸鎖乳突筋前縁に沿う約8cmの皮切をおき,頸部筋を分けて入り,中甲状腺静脈を結紮切断し,甲状腺左葉を飜転すると,袋状に突出した憩室が認められた.アリス鉗子で憩室をひつぱり(図⑤),憩室頸部を十分剥離し,輪状咽頭筋を約2cm切開し,憩室を切除した.憩室の切断は,狭窄をきたさないように余裕をもたせて行ない,粘膜および筋層を層別に,縦方向にDexon糸で縫合した.
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