Japanese
English
臨床研究
乳腺嚢胞内腫瘍—診断とSubgross Procedureから見た治療法の検討
Intracystic tumor of the breast
小坂 昭夫
1
,
天晶 武雄
1
,
宮崎 道夫
1
,
伊井 祥
1
,
上 敏明
1
Akio KOSAKA
1
1日本鋼管病院外科
pp.123-130
発行日 1978年1月20日
Published Date 1978/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206884
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はじめに
乳腺嚢胞は穿刺のみで治癒するというのが定説であるが,穿刺後再貯溜を来たす嚢胞がかなりの頻度に見られ,また一見単純な嚢胞と思われるものでも嚢胞内の上皮増殖及び良性,悪性の腫瘍が存在することを著者1,2)はかつて報告した.突刺後再貯溜を来たした乳腺嚢胞の中で腫瘍を形成していた,いわゆる嚢胞内腫瘍は著者らの取り扱つた乳腺嚢胞患者68例中11例(16.2%)であつた.11例の嚢胞内腫瘍を臨床的に触診,穿刺,Pneumo—cystography,穿刺液細胞診を行なうことによつて診断した後,嚢胞を摘出しWhole Mount法及び病理組織学的に検索を行なつてみると,嚢胞内乳癌は勿論のこと良性の腺腫,及びCystosarcoma Phyllodesさえも存在することが判明した.これら嚢胞内腫瘍は良性,悪性を問わず臨床的には短期間に再貯溜を来たし,Pneumo—cystographyで嚢胞内腫瘍像がみられ,穿刺液も血性かつ細胞診でも両者ともClass III以上であることから,良・悪性の鑑別はかなり困難である.著者らはこれら嚢胞内腫瘍の自験例を検討し,その診断方法と本症に対する治療について考察を加えた.
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