Japanese
English
特集 上部消化管大量出血
上部消化管大量出血の手術をめぐる問題点—食道静脈瘤
Surgical treatment of the bleeding esophageal varices
磯松 俊夫
1
Toshio ISOMATSU
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.981-986
発行日 1977年8月20日
Published Date 1977/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206786
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
上部消化管出血のうち食道静脈瘤出血は,その70%以上がショックを伴い最も重篤なものということができる.食道静脈瘤破裂は出血が大量におよぶというだけでなく,その基礎にある肝臓の状態が予後に大きく影響を与えてくるもので,この両者はたがいに関連しあう.つまり大量出血による循環血液量の減少は肝硬変などの基礎疾患があれば,肝amoxiaから容易に肝不全が出現し,また肝不全が増強すれば大量出血が起こり易くなる.したがつて,われわれが日常かかる患者に遭遇したとき,いかにして予想される肝不全を予防しながら出血に対処していくかということにかかる訳である.
同じ食道静脈瘤の出血であつても,その予後は門脈圧亢進を起こした原因によつて夫々異なるものである.いまわれわれが最近経験した食道静脈瘤の待期手術100例について,夫々病態別に吐血歴および待期手術を受けるまでの経過月数を分類してみたのが表1で,その内訳は肝外門脈閉塞16例,特発性門脈圧亢進症17例,巨脾性肝硬変症42例,非巨脾性肝硬変症25例である.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.