Japanese
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特集 非癌性乳腺疾患の外科
乳腺症—本態と治療
Pathological entity and treatment of the fibrocystic disease in the breast
妹尾 亘明
1
Tsuneaki SENOO
1
1川崎医科大学内分泌外科
pp.553-561
発行日 1977年5月20日
Published Date 1977/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206730
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はじめに
乳腺症(fibrocystic disease, cystic disease, mastopathy)は中年婦人の乳房に発生する"嚢胞性疾患"として発見され,本態について種々の説があるが,現在本症を発生させるホルモン機序の詳細はなお不明である.そして本症のしめす種々の病理形態像は増殖・化生・退行性変化の複雑な組合せよりなるとされる.その一つ一つは本症によるものか,あるいは他の原因によつて起こつたものかは,ときに必ずしも明確さをかくことがある.将来本症に関与するホルモンとそれらの相互関係と形態学が相関するとき本態が解明されることであろう.ここでは現在までに本症についての病理形態学の所見を中心に私感をまじえて本態をのべる.また最近では治療法の概念も乳腺症としての一括した疾患に対するよりも,それを構成する病変を中心に行なわれ,ことに"嚢胞"に対する治療は大きく変りつつある.一方本症と乳癌の関係も多くの歴史を積重ねたにもかかわらず,解明されていない.最近再び関心がもたれ種々の方向から見直されようとしている.それは微小乳癌の発見が可能となりつつあるからである.
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