追悼
並木正義先生を偲ぶ
下田 忠和
1
1国立がんセンター中央病院臨床検査部
pp.1854
発行日 2006年12月25日
Published Date 2006/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100826
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平成18年(2006年)4月11日に並木正義先生がご逝去されました.先生は旭川医科大学を退官後しばらくして,体調をくずされ不自由なお体となられましたが,元気に毎日を過ごされているとお聞きしていましたので,突然の訃報に接し驚いた次第でした.私の心の中にぽっかりと穴があいた感じと同時に,走馬燈のごとく私の脳裏には様々な想い出が駆けめぐりました.数年前,岡山での学会でお会いしお元気なお姿を拝見しましたが,そのときが先生にお会いした最後となりました.先生のお弟子さんである渡二郎先生の「白壁賞」受賞を祝うために不自由なお体をおされて岡山においでなりました.先生はお弟子さんを大事にされましたが,そのときの先生の表情から渡先生の受賞はよほど嬉しかったに違いないと感じました.実は私にとっても,先生は私の人生を導いてくださったお一人であります.私がまだ医学部の学生であったとき(昭和40年),先生の講義で胃癌の治療には内視鏡検査(当時はまだ胃カメラが主流)による早期発見が極めて重要であることを拝聴しました.実際,先生は早くから胃カメラを駆使して早期癌をたくさん発見されており,先生のもとに胃カメラの教えを受けに北海道中から多くの先生がはせ参じていました.そこで私も臨床実習と称して数人の仲間と先生の教室に出入りし,消化管疾患診断の実際を経験させていただきました.先生には迷惑であったと思いますが,実によく指導をしていただいたことが昨日のことのように思い出されます.
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