カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・19
胃:メネトリエ病・リンホーム・スキルス
多賀須 幸男
1
1関東逓信病院消化器内科
pp.154-155
発行日 1977年2月20日
Published Date 1977/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206673
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巨大な粘膜襞を呈する胃疾患の鑑別診断と言う立場から内視鏡写真を選んでみた.メネトリエ病と呼ばれる病変は胃の粘膜層が肥厚して襞が脳回転をしのばせるほどになつた良性病変で,蛋白漏出性胃症を伴うことがあることと,悪性腫瘍との鑑別のうえから注目されている.どの程度以上粘膜襞が太くなつたらメネトリエ病と称してよいかはいつも問題になるが,典型的な例はごく稀である.良性巨大皺襞は胃体部大彎を中心としてみられるのが特徴で,それが前庭部や小彎上にみられた場合は他の疾患を考えねばならない.近接してよくみると皺襞の表面は軟らかいビロード様の印象の顆粒状ないし小区状を呈している.その表面にびらんがみられることもある図①.この様子はメチレンブルーなどの色素々撒布することで一層よくわかる図②.襞の間にはしばしば粘稠な粘液が附着しており,これと蛋白漏出と関連があるのではないかと思われる図③.
巨大皺襞様の所見を呈する良性疾患として疣状胃炎がある.図④は前庭部にみられた巨大な襞で,一見すると癌の浸潤のごとくであるが,卵を呑み込んだヘビのごとき高まりの上の小びらんに注目すれば鑑別できよう.図⑤もX線的には巨大皺襞像を呈したが,胃全体に多発した疣状胃炎であることは,各隆起の頂点にあるびらんからわかる.
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