外科医の工夫
直腸・肛門ならびに会陰部手術に対する新しい足挙上器の工夫
渡辺 豊昭
1
1諏訪赤十字病院
pp.1051-1052
発行日 1976年8月20日
Published Date 1976/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206566
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はじめに
近年,麻酔学の発展とともに手術法にも長足の進歩がみられるようになつたが,いかなる種類の手術に対しても,その手術に最も適した手術台上の患者の体位が要求されるのは当然である.しかも患者にとつて,その体位をとることが苦痛であつてはならない.すなわち,呼吸,循環,神経に障害をあたえず,しかも手術操作に最も都合のよい体位をとることが,安全に,かつ迅速に手術を終了できる要点ともいえる.
従来から直腸,肛門ならびに会陰部の手術には,Jacknife position1)Sims'position2,3),Lithotomyposition4)が繁用されてきた.これらの体位については一長一短があるが,本論文では,その優劣を述べるつもりはない,しかし,この3つの体位のうち,截石位で手術を行なうのが最も普遍的であると考えられる5).しかし,従来から使用されている足挙上器を使つた截石位では,下腿の保持装置のため脛骨神経,腓骨神経の圧迫による麻痺,膝窩部の圧迫による血栓形成等の合併症に注意を払わなければならない4).また術者にとつては手術し易い体位であるが,助手にとつては開脚し突出した両下腿が,しばしば手術操作の妨げとなる.
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