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主として消化器系の管状構造物の連結後おこる狭窄は個体差,年齢差,部位差があること.また局所的には結合織の増殖の速度,増殖量によることは知つての通りである.この狭窄の防止対策としては縫合糸,縫合法などキメこまかな配慮から,連結部に狭窄防止用管(図11)を挿入することまで広範な問題がある.ここでは狭窄の問題を挿入管との関係において述べてみたい.これまで挿入管としてはゴム管,ビニール管(ポリ塩化ビニルプラスチックスの意味であろう),ポリエチレンチューブ管,シリコーン管なと比較的手近にあるものが使われてきた.それだからとはいいきれないが,結果的には大した効果がなく,無意味だとする人も少なくないようである.しかし一方,狭窄防止の役割を果すに十分な生物学的根拠をもつたものを使わなかつたからだと反論も成りたっであろう.それではまず生物学的に合理的な挿入管とはどうあるべきかのよりどころとなる問題点をひろつてみると表1になる.この表が集約的に画一的なものに決定することは無理で,症例ごとの最適材料,最適法があるはずである,したがつていろんな種類の挿入管が必要となろう.挿入管の理想像としては,つまるところ生体内で狭窄防止の役目を果したら管自体は自然に消失していくか,排泄しやすいように縮小する形式の材質であろう.この見地から消化性挿入管という意味でポリサッカライド系のものとしてガラクタンの硫酸エステルが主材である寒天質(図12),マンナンが主材であるコンニャクをとりあげた.これは加工処理法を変えることによつて,いろんな性質のものつくりうる.即ち弾性ゴム的なもので伸び率20%,曲げ強さも天然ゴムのように14%加硫物の性質によく似たものができる.膨化についてもその速度,吸収期間,また必要とあれば挿入管の材質の中に抗生物質を含浸させたり,膨化の速度を調節するためシリコーン菲膜を内張り(図13)などすることも可能である.結合織の増殖速度とともに増殖量が狭窄に大きく影響することは前に述べたが,この増殖量を極力小範囲に止める策として挿入管を入れてから同時に外部から長期間吸収性縫合糸(SCS)などで巻きつけておくことはどんなものであろうか(図14).
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